歴史から追う人魚のモデルはリュウグウ?ジュゴン?
「人魚」っていつから語り継がれてきたのか知っていますか?
意外にもその歴史は古く、600年代には日本でその存在が確認されています。
今回はその記述を確認しながら、現代で人魚のモデルと言われている動物たちなどを考察していきたいと思います。
日本の人魚はリュウグウノツカイ?
まずはリュウグウノツカイ。
リュウグウノツカイは最大では11m、体重はなんと272kgのものが発見されたことがあります。
世界最長の硬骨魚類と言われており、左右から押しつぶされたような体、下あごが付きだしているような特徴があり、その容姿は初めて見たら驚くかと思います。
こんな感じです。
これ、やばくないですか?
おそらくリュウグウノツカイをご存じでない人もいるかと思いますが、こんなの、昔のように情報網が発達してない時期に遭遇してしまったら地球の終わりを予感しますよね。笑
背びれは長く、全身は銀白色、ひれは赤く、死ぬと色味が消えることが知られています。まるで人魚に間違うような部分はないのですが、これが日本だと人魚だった可能性があるんです。
人魚について日本で最も古い記述があるとされる「日本書紀」では
とあります。
また「古今著聞集」の「伊勢國別保の浦人人魚を獲て前刑部少輔忠盛に献上の事」にはリュウグウノツカイを想像させる描写があります。
http://7tunotakaranoyakata.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-c71f.html引用
この記述にはいくつかリュウグウノツカイを象徴するようなものが見られます。まずは「猿のように口が突き出ている」ということ。そして複数人でかついで運んでも余裕ではみ出るような長い体・・・。
まさにそのままリュウグウノツカイなのではないかと感じさせるような描写ですね。
また、菊岡沾凉「諸国里人談」巻之一「人魚」では以下のような文章が記載されています。
ここでも赤いひれを彷彿とさせるようなリュウグウノツカイに見られる特徴が存在しています。
ここで語られているように災害と人魚を連結させる考え方は古くから存在しており、人魚が打ちあがったら何か災害が起こると言われてきました。それは日本各所で語られる人魚の伝説にも多数伝えられています。
そこで人魚が災害が来るから山に逃げたほうがいいといったことで、避難して助かったという話まであります。
この「リュウグウノツカイ」にも自信と関係があることがいまもなお言われています。それは地震が地殻プレートが動くことによって起こるのですが、そのプレートの押し合いで電気を発生することに由来します。
リュウグウノツカイは深海に生息しているために、電気にショック反応を起こして浅瀬に逃げて海岸に打ちあがると言われており、そのため海岸にリュウグウノツカイが上がったら地震が起きることと関係があり、古から人魚と災害がセットで伝えられてきたのではないか・・・と言うのです。
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沖縄はジュゴン?
人魚伝説の中で、世界的に見て歴史上もっとも人魚と勘違いされたことが多いのではないかと考えられている動物が「ジュゴン」です。
人間と同じ哺乳類の仲間であり、体長は2.5m前後(最大3.3m)、体重は平均230~500kgであると言われています。平均寿命は50年ほどであり、70年以上生きた症例も存在します。
生息している地域はインド洋や南西太平洋の沿岸の浅海と言われており、後ろ足が退化しているジュゴンが立泳ぎしながら子を抱き授乳する姿が、まるで人が海の中で泳いでいる光景に見られるということですね。
パッと見、全く人間っぽくはないのですが、海の中で泳ぐさまは、そのシルエットは人魚のように見えるかもしれません。
日本の沖縄県では古くからこのジュゴンは神聖視されて言うという経緯があり、「ザン」や「ザンノイオ」、「アカンガイユ」などと呼ばれています。このジュゴンの肉を食べると不老長寿をもたらすとも言われているため、かなり人魚伝説と混在して伝えられた可能性は高いでしょう。
沖縄は日本の中でも独自の文化が発達しており、我々が想像できないような伝説や風習が今もなお色濃く残っています。
そんな沖縄だからこその伝説から派生した人魚が日本各地に伝来したのかもしれません。
日本に伝わる人魚伝説についてその元になった噂にある生物を紹介してきましたが、日本で古くから伝えられてきた人魚はこんなものなのです。
川原慶賀さんが描いた「人魚図」より
こうした人間の要素が「顔だけ」という人魚は古くから日本で伝えられています。このような人魚像の場合、上記のような生物は人魚として語り継がれていてもおかしくはないなあと言う感じがします。
西洋ではマナティー?
マナティ―はカイギュウ目・マナティ科に属する草食のほ乳動物であり、推定寿命50年、体長は3m~4m、体重は300~500kgなどと非常にジュゴンに似た生物として知られています。
違いとしては生息地で、ジュゴンが太平洋で、マナティが大西洋とはっきり分かれているために、西洋で語られる人魚伝説がマナティーであるという都市伝説が存在しています。
しかし、西洋の人魚伝説は神話から派生したセイレーンや、船の難破が多い症例を後に人魚とリンクさせて生まれたローレライなどが知られており、非常に紆余曲折して今の人魚像にたどり着いている経緯があります。
そのため、モチーフと言ってもそんな簡単には言えず、しかも西洋で知られるような美しい女性と言われる人魚とマナティーはかけ離れた容姿を持っており、きれいな歌声なんてないし、船が難破する原因になるような生物ではありません。
そのため、西洋の人魚のモデルとしてはちょっと納得いかないところはあるのですが、最も信憑性のある説として知られています。
人魚が美人になって言ったのには自慰行為が絡んでいたのでは?という都市伝説もあります。これは別の記事にて。
信じるか信じないかは、あなた次第。